TOSHIBA IC-700
ネットオークションでは思わぬ出物に巡り合うことがある。
以前、IC-70というトランジスタ・ラジオの記事を書いたが、そのIC-70の上級機がこのIC-700だった。
1970年くらいに発売されたラジオで、当時小学生だったオレが本当に欲しかったのは、実はこの700だったのだ。
親にねだってみたものの、あまりに高額だった為あっさりと却下され、代わりに70を買ってもらったというくらい憧れたラジオである。3バンドでAC電源も使える700は、精悍なブラックとスタイリッシュなシルバーの2色が用意されていた。
当時欲しかったのはシルバーの方だったが、オクに出品されていたのはブラックだった。またいつかシルバーが出品される可能性もあるので、今回はとりあえずこちらを手に入れた。
入札で競争することもなく開始価格ですんなりと落札。しかし、今こうして実物を眺めているとブラックもなかなかシブくてカッコイイぞ。何よりも、約40年前の製品とは思えぬほど素晴らしいコンディションが嬉しい。特にアンテナは新品同様と言っていい。残念ながらACコードは欠品となっていたが、電池ボックスは液漏れ跡もなく良好。単3電池4個で稼働する。少しカビ臭い合皮製のカバーとショルダーベルトも付いていたが、こちらは時代を感じさせる品。
本体は所々に40年間の汚れが残っていたので、早速各種のケミカル製品を使用して隅々までクリーニング。
また、ガリ音が発生していたボリュームレバーとトーンレバーには接点復活剤を塗布。ガリ音はすぐに解消した。チューニングメーターを照らすライトも健在。受信性能も高く、音質はマイルドでキメが細やかな印象。スピーカーが良いのかな?FMのキレイな音は格別で、70では望めない感度の高さが際立つ。
往年の輝きを取り戻した憧れのIC-700を手に、今オレは何とも言えぬ感慨に浸っている。最近は、ほとんど毎晩このラジオを聴きながら床に就く。当時のように数々の人気番組があるわけではないが、雰囲気だけは70年代に戻ったようで、若返った気分になる。買ってもらえなかった当時の悔しさも、今となっては懐かしい思い出だ。
と、ここまで書いておいて、実は重大な発表をしなければならない。
何を隠そう、もう1台のラジオが近々オレの手元に届く予定になっているのだ。
深夜放送全盛の時代にトランジスタ・ラジオは花形商品だったが、そのなかでも700を上回る人気を博していた知る人ぞ知るトランジスタ・ラジオの名機、な、な、なんとナショナルの「ワールド・ボーイ」なのである(笑)。凝るよねぇ、オレも。
公開間近!乞うご期待!