ブルース・メッセージ
いやぁ、ここんとこ雑用に追いまくられ、更新が滞ってしまいました。
滞っていたといえば、カップスのディスクレビュー(そんな大そうなものではない)もブルース・メッセージんとこで滞っていたんだなぁ、これが。
思わずのけぞる「本牧ブルース」で始まるカップスのサードアルバム。
カップスのメンバー、特にデイヴとエディがどれほどブルース(或いは、ブルース的なもの)に心酔していたかが如実に表れた、恐ろしいまでに完成されたアルバムである。
100人のカップスファンに聞けば、まず89人はこのアルバムをベストに挙げるだろう。当時、ビートルズを抑えて堂々の国内アルバムチャート1位に輝いた伝説のアルバムである。(但し、オレは「愛する君に」を収録した「第2集」をベストにしておきたい。)
とはいえ、やはりこのアルバムは凄い。
「ウォーキン・ブルース」(原曲はロバート・ジョンソン)と「絶望の人生」では、本家のバタフィールド・ブルース・バンドを凌駕するほどの演奏力に圧倒される。全身に鳥肌が立つ豪快なイントロで始まるアル・クーパーの大作「I CAN'T KEEP FROM CRYIN'」、ここでもエディのギターは冴え渡ってる。そして今やカップスのテーマともなった「ワン・モア・タイム」(ヴァン・モリスン)など、恐らく当時は誰も知らなかっただろうホワイト・ブルースの傑作をいち早く取り入れるセンスと先見性。加えて、ダントツの演奏力とカップスのサウンドとして昇華させた絶妙なアレンジには、ただただ凄いとしか言いようが無い。
もちろん、このアルバムでもオリジナルは3曲。あとは全てカバーである。
では、そういったブルースナンバーをカバーすれば誰でも凄いのか?
答えはもちろん否。(笑)
以前「天使はブルースを歌う」でも書いたのだが、カップスのメンバーが醸し出す異端な雰囲気、それは実生活においても際限なくはみ出して行くような混沌とした感覚を持つ者だけが放つ危険な香り・・・
それがなければやはりタダの猿真似である。
もちろん今の音楽シーンにもブラックミュージックをリスペクトし、模倣した若い奴らは男女問わず大勢いる。
しかし、この異端な香りを感じさせる音は、残念ながら皆無である。
ブルース・メッセージ 1969.3.10
SIDE1
1.本牧ブルース
2.ウォーキン・ブルース (Walkin' Blues)
3.ルシール (Lucille)
4.ゲット・アウト・オブ・マイ・ライフ (Get Out Of My Life)
5.絶望の人生 (I Got A Mind To Give)
6.僕は君に首ったけ~悲しき叫び
(You Really Got A Hold On Me ~ Bring It On Home To Me)
SIDE2
1.泣かずにいられない (I Can't Keep From Cryin')
2.イーヴル・ウーマン (Evil Woman)
3.ワン・モア・タイム (One More Time)
4.テイク・スリー (Take 3)
5.4グラムの砂