あまりお勧めはいたしません。
で、今回のロバート・ジョンスンのリマスター盤はというと、正直いただけない・・・(苦笑)
確かに頑張ってノイズは軽減されている。しかし、その代償なのか全体にこじんまりとした音に整えられてしまっているのが残念。言ってみれば、苦い薬をオブラートに包んで飲む、強烈な焼酎を目いっぱいお湯で割る、缶ピーにニコチンフィルターを付けて吸う、あるいは○○○を装着して挿入する・・・といった感じだな。
これならば、「キング・オブ・ザ・デルタ・ブルース・シンガーズ」、(出来ればファンアイテムとして「キング・オブ・ザ・デルタ・ブルース・シンガーズ vol.2」)、それに別トラックを聴くために従来の「コンプリート・レコーディングス」を持っていれば十分である。
オリジナルでは、ノイジーながらもギターの力強いアタック音や、シャウトやファルセットの突き抜けた高音が針も振り切れんばかりに生々しく響いて来るのだが、このリマスターでは随分大人しく、マイルドになっている。
言っちゃあ悪いが、これではロバート・ジョンスンの超人的な凄みと迫力は全然伝わってこないのだ。
まぁ聴き易いっちゃあ、聴き易いんだろうが・・・。
但し、従来の「コンプリート・レコーディングス」に比べ、曲の並べ方に工夫が感じられるのは好感が持てる。従来のものは、ある曲の次はその曲の別テイクという構成で曲が並んでおり、別テイクとはいえ同じ曲を繰り返し聴かなければならないというもどかしさもあった。しかし、今回は2枚のCDをサン・アントニオ・レコーディングスと、ダラス・レコーディングスとに分け、別テイクはそれぞれの後半にまとめて収録されている。これで全体にすっきりとし、随分聴き易くなった。
つまり、聴き易さに重点を置いたセットだということか、これは(笑)。
あと、資料としての解説書と歌詞と対訳くらいかな、使えるのは (再び苦笑)。
まぁ、あくまでもオレの感想だが、あまりお勧めはいたしません。