怪獣島の決戦 ゴジラの息子
夏休みゴジラ祭りだよ!全員集合。
ゴジラ全作レビューも、やっと8作目「ゴジラの息子」まで到達した。
生まれつきズボラな性分のため、遅々として進まないのである(笑)
この映画が公開された時、オレは既に9歳になっていた。
ゴジラの息子・・・今考えれば「何ちゅうタイトルをつけてくれたんや」、と文句の一つも言いたくなるが(^^;)、当時これはこれでなかなかインパクトのあるタイトルだった。
オレの記憶では「ミニラ」という名前は子供向け雑誌の公募で決定されたものではなかったか。この辺の状況はあまり定かに記憶していないが、こういう経緯もあり公開前から学校ではミニラの話題で持ちきりとなった。絵心のある者はチラシの裏に上手にミニラの絵を描いて見せた。このようにミニラへの興味は果てしなく募ってゆくばかりで、この作品に限ってはゴジラ映画を観に行くというよりも、ミニラ観たさに劇場へ足を運んだ子供も多かったのではないだろうか。
(但し、劇中ではミニラという名前は出てこないのだが・・・^^;)
そんな本作に登場する新怪獣は、幾多のゴジラ対戦相手のなかでもいぶし銀の輝きを放つ、巨大なカマキリのカマキラスと巨大な蜘蛛のクモンガである。派手さは無いが、手堅い攻撃でゴジラ親子を苦しめる。特撮的にも、密林の中を歩き回るカマキラスなんぞは、思わず拍手を送りたくなるような秀逸さである。
また、ヒロインである島の娘サエコ(前田美波里)の健康的な美しさも特筆モノで、本作の価値を大いに高めている。
ゴジラ映画は、第1作からその時々の世相やムードといったものを作品の中に反映させて来た。
今回は、当時教育ママゴンなどが登場した学歴偏重の世の中に一石を投じる・・・などという意図があったかどうかは知らないが、劇場に詰めかけたオレたちは、ただただミニラの一挙手一投足に歓喜し、カマキラスやクモンガの執拗な攻撃に地団駄を踏んで悔しがっていたのである。ゴジラ映画が、子供向けの映画に大きく舵を切った作品でもあった。
雪に包まれながらゴジラ親子がしっかりと抱き合うラストシーンは、日本人の心に激しく訴えるゴジラ映画史上屈指の名シーンである。
怪獣島の決戦 ゴジラの息子 (1967年12月16日公開)
制作 / 田中友幸
監督 / 福田純
特技監督 / 有川貞昌
脚本 / 関沢新一・斯波一絵
音楽 / 佐藤勝
出演 / 久保明、高島忠夫、前田美波里、平田昭彦、土屋嘉男、佐原健二