JUST ANOTHER HIGH / ROXY MUSIC
当時は派手なコスチュームや化粧といったビジュアル的な部分ばかりがセンセーショナルに取り上げられたものだから、ビートルズ一辺倒だったこの俺は、グラム・ロックには少しばかり距離を置いていた。(唯一、夢中になったのは「メタル・グルー」を大ヒットさせたT・REXだけだったな。)
そういったグラム・ロックの元年とでも言うべきこの年に登場したロキシー・ミュージックの本当の凄さ、カッコよさを理解するまでには、それから数年かかったのだった。
ジョン・レノンやジム・モリスンが自分の内面をストレートに表現したのに対し、デヴィッド・ボウイやブライアン・フェリーは極めて役者的にロックン・ロールに向き合ったのでは無いだろうか?(ブライアン・フェリーの役どころはさしずめ気がふれた教師か、アル中のジゴロといったところか・・・笑)。
そしてロキシー・ミュージックは音そのものにも煌びやかで、なおかつ圧倒的な毒々しさを放っていた。
アルバム・ジャケットのアートワーク(そのほとんどにフェリーが係わっている)の秀逸さで定評のあるロキシーだが、この2枚はその中でも甲乙つけ難い上、内容的にもロキシーの代表曲はほとんどこの2枚に集中していると言って良いだろう。
最後は「アヴァロン」という表現の高みに到達するのだが、すでにこの時期にひとつのロックン・ロールの高みに到達している。
メンバー的にはブライアン・イーノはすでに去ってしまっているが、ロックンロールバンドという意味では文句なしにロキシー最強のメンバーである。
Bryan Ferry (Vo.Key.)
Andrew Mackay (Sax)
Paul Thompson (Drums)
Phil Manzanera (Guitar)
Edwin Jobson (Str.Syn.Key.)
Jhon Gustafson (Bass)
エロティックなジャケットが話題になった「Country Life」(上)。通算4枚目のこのアルバムは1曲目「The Thrill Of It All」からフェリー節全開のハードロックナンバーが炸裂する。名曲「Out Of The Blue」、「Casanova」を収録した非常に密度の高い、ド派手なアルバム。ロキシーで1枚と言われればコレだな!
さらに5枚目のアルバム「Siren」。ジェリー・ホール(その後ミック・ジャガーと結婚)の妖艶な(マタンゴの水野久美さんじゃありませんから・・・笑)肢体がショッキングだった。
音はさらに洗練されアルバムの完成度は一層高まっている。妖しい靴音から軽快な16ビートに移行するさまが快感の「Love Is The Drug」から、この世の終わりのような美しさの「Just Another High」まで不思議な退廃感と清涼感が混在する傑作だ。
夜の帳にネオンが瞬き、冷たい風にドレスの裾が翻ったらダンスが始まる・・・・。
ようこそROXY MUSICへ。この素晴らしきロックンロールバンドに乾杯!