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雨の日には車をみがいて

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 23歳の頃、初めて買った車は黄色のスターレットSだった。4速マニュアルのFR。エンジンは1300ccのOHV。
もちろんキャブレターだった。働き始めたばかりだったが、当時付き合っていた五つ年下の少しヤンキーがかった伊藤サヤカ似のM子が「この車カワイイよ」というので思い切って買ったのだ。コンパクトなボディと良く回るエンジン、キビキビした足回りの黄色のスターレットは二人のデートカーとして大活躍した。
 
 彼女はまだ両親と一緒に住んでいたし、親父さんが厳しい人だったので夜のデートにはひと工夫が必要だった。
土曜の深夜、彼女の部屋の窓の下(彼女の家は小さな高台の上に建っていて、彼女の部屋の窓のすぐ下が細い道路になっていたのだ。)で車のドアを1回バタンと閉める。すると窓がスルスルと開いて彼女が顔を出し、あたりを見回しサンダルを手に持って裸足で塀から飛び降り、黄色のスターレットに乗り込むのだった(笑)。それから夜通し遊びまわり、夜明け前に家まで送り届けるというのがその頃の基本パターンだった。 
 実に懐かしい。実に青春していた。

 それから数年後、このM子とも別れて家庭を持ち、子供も生まれ、経済性を考えてオートマのミラ・パルコに乗った時期もあったが、さすがにすぐ飽きて前の車だった日産のパオに買い替えたのだ。何故パオを選んだのかというと真っ先にデザインが良かったからである。とにかく外車っぽい雰囲気が好きだった。一応外車も考えたが中古の外車はすぐ壊れるという話は散々聞かされていたので、裕福じゃないオレは日本車で外車(ルノーのキャトルあたり)の雰囲気を味わえるパオにしたのだった(笑)。パイクカーなどと呼ばれて評論家筋にはあまり評判は良くなかったが、マーチの1000ccエンジンを乗せた5速マニュアルのパオは良く走ってくれた。家族旅行で阿蘇の草千里を走ったときなど、タイヤハウスの中が牛の糞だらけになって皆で大笑いした事もあったっけ(笑)。

 そして50になる今年、ずっと欲しかったロードスターを買った。恐らくこれが最後の車になるだろう。
もうすぐウチに来て1ヶ月。運転のコツも掴めてきた。これから待ちに待ったオープンの季節がやってくる。その前にしっかりと磨いてやらねば・・・。

 汚れてくれば水で洗い流し、ワックスを掛けて磨いてやるくらいの愛情を車に持てるような人ならば、そしてその車にまつわる喜怒哀楽のエピソードを多少でもお持ちの人ならば、この本は絶対に面白いはずである。
(五木寛之ってとてもエンスーだったのね・・・。)

by Tettin-Arts | 2008-10-20 19:58 | 夕日書房
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四辻に佇んで・・・。


by Tettin-Arts
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