CHRIS SPEDDING / CHRIS SPEDDING
ひたすら覚醒するロックンロール・ギター。この人の弾くギターを一言で現せば、こうなるやろか。クリス・スペディングもまた、独自のスタイルを貫く素晴らしいギタリストだ。
オレが初めてクリス・スペディングを知ったのは、たしかNHKの「ヤング・ミュージック・ショウ」。NHKのスタジオで収録されたブライアン・フェリーの「Let's Stick Together 」のライヴやった。黒のレザーを身にまとった寡黙な美形の青年が、フライングVを縦横無尽に弾きまくる姿を見てシビれた。特に華麗な早弾きとか、息詰まるインプロビゼーションの嵐とか言うわけや無いけど、シンプルながらもチョーキング一発の鋭さが印象的やった。こういうスタイルのギタリストを見たのは初めてやったね。オレも絶対こういうギタリストになろうとその時は決心したんやけど・・・・(笑)。
数ある彼のアルバムの中でも、この「CHRIS SPEDDING」(1976年)は自分の名前をタイトルにしとるだけあって気合十分。クリス・スペディングの”ひたすら覚醒するロックンロール・ギター”の魅力が堪能できる。1曲目の「NEW GIRL IN THE NEIGHBOURHOOD」は、軽やかなアコースティックギター(恐らくは下の写真のギブソンJ200あたりか?)で始まるんやけど、途中からあの思考回路がぶち切れたようなクリスのギターが鳴り響く。コレよ、コレコレ!あとはもう全曲、背筋がゾクゾクするようなクールなロックンロールが展開する。1曲を除いて全て自作。
ジャズ畑でも活動したことがある人だから、技術的には高いものを持っているはずなのに、そういう部分は一切出さない。”知らぬ者は弾き、知る者は弾かず”というところやろうか(笑)。そして彼のヴォーカルがこれまたひたすらクール!
聞き物は5曲目の(まぁ、皆様よくご存知の・・・)「GUITAR JAMBOREE」やけど、ホントこの人どこまでが本気で、どこまでが冗談なのか分からなくなるような部分がまた魅力でもある。
この「CHRIS SPEDDING」と「HURT」はやっぱり”墓まで持って行きたい”アルバムやね。