叫 (さけび) / 黒沢清
この言葉が示す通り、この映画は重度の若年性健忘症の刑事と、
「私は死んだ。だからみんなも死んで欲しい。」
というわがままな怨念に凝り固まった女幽霊の哀しくも儚い物語だ。
<以下ネタバレあり>
いやぁ、期待して行ってまいりましたが見事にコケました・・・^^;)。
そもそも半年前に自分の恋人(小西真奈美)を殺した事さえ忘れてしまっているこの刑事(役所広司)って一体何なんでしょうか(笑)。
そういう病的な刑事と女幽霊(葉月里緒奈)の物語だから、恐怖を感じる場面は全くと言っていいほどありません。 見所といえば、赤い服を着た幽霊として久方ぶりにスクリーンに登場する葉月里緒奈の怪演だろうな。しかし、復帰早々コレじゃあまりに可哀相な気もするが・・・。
「エクステ」もそうだったように、脚本があまりにも雑な感じが。作り込みが足りんと言うか・・・。
何故この赤い服を着た女がそこまで恨みを持つようになったのかがイマイチよう分からんし、刑事ものとして結構リアルに展開するドラマも、最後の方で出現する吉岡(役所)の恋人・春江(小西真奈美)の白骨死体が余りもに唐突で、それまでのリアルなドラマが笑い話になってしまうくらいに変質してしまう。
しかし、全体の映像を貫く荒涼感は目を見張るもんがあったな。なかなかロケンロールしとった。この辺が黒沢監督の持ち味やろうが如何せん今回は消化不良っちゅう感じがした。
「CURE」「回路」といった定評のある作品を是非観てみたいと思うけど、期待している監督だけに今回は辛口の点数となりました。葉月里緒奈の復帰祝を兼ねても45点・・・ゴメンナサイ、またエラそうに・・・(>_<)。
(最近コレばっかやな。)
話は変わるが、「エクステ」も観たこのシネコンは最悪だったな。無音のシーンでは隣のスクリーンの音がガンガン漏れてくる。興ざめもいいとこで、もう二度とココでは観ません。