転石苔を生ぜず <弐>
ローリング・ストーンズの名札のある棚には5~6枚のレコードが並んでいたと思う。その中にあった2枚組のライヴ・アルバム。その頃は「実況録音盤」と言いよったね(笑)。たしかタイトルはそのまんま「ザ・ローリング・ストーンズ・ライヴ!」ちゅうやつやった。 ジャケットが若干ダサかったけど、それしか無かった。
ライナーノートによると1枚は1966年のロンドンはロイヤル・アルバート・ホールでのライヴ。
そしてもう1枚は1969年のNY、マディソン・スクエア・ガーデンでのライヴとなっとる。
ここでもキース・リチャーズ(当時はリチャード)がギターを弾きよると思うとドキドキしたね。
1枚目はのっけから司会者が絶叫して、大歓声の中「アンダー・マイ・サム」で始まる。今思えば、映画「LET'S SPEND THE NIGHT TOGETHER」のオープニングと一緒なんよね。違うのはそこにはロン・ウッドやなくてブライアン・ジョーンズが居るちゅうこと。とにかく臨場感ちゅうか演奏する方も聴く方も熱気がモノ凄かった。(後で知ったのは、この中の数曲にはスタジオのテイクに歓声をダヴィングしただけちゅうのも含まれとるらしいけど・・・笑)
そして2枚目は「ジャンピン・ジャック・フラッシュ」で始まる、ストーンズ独特のグルーヴ感が芽生えつつある頃の演奏。ギターはブライアンからミック・テイラーに交代しとる。ミックのヴォーカルやキースのギターにもゾクゾクするような色気があったね。(しかし、考えてみればこの1969年ちゅうのは、ブライアンが亡くなって、例のハイドパークをやった年なんよね。)そしてこの頃の、アンペグのアンプがステージの後ろにズラっと並んどる様は圧巻やね。オレ大好き(笑)。
もうお気づきの方も多いと思うけど、この2枚組のアルバムちゅうのは「Got Live If You Want It」と「Get Yer Ya-Ya's Out」の2枚をカップリングしたやつやったんよ。 解説にはそんな事は一言も書いて無かったような気がする。凄い商売!(笑)
ちゅうわけで、これが初めて買ったローリング・ストーンズのアルバムであり、初めて買ったライヴ・アルバムやった。
それからちゅうもの、毎日この2枚をとっかえひっかえターンテーブルに乗せては、擦り切れるほど聴いとったね。
特に「かわいいキャロル」はカッコよかったね。(ファーストアルバムのヤツと比べるとテンポが随分ヌッタリしとるけど、これがストーンズのノリよね。)この曲がビートルズの「ロールオーヴァー・ベートーベン」を作ったチャック・ベリーの曲やと知って、ますますストーンズに惹かれていった。そしてロックンロールの魅力にどんどん引きずり込まれてしまうんよね。
さて、このライヴアルバムにはもう1曲オレにとって重要な曲が入っとった。
「LOVE IN VAIN」ちゅう名曲が・・・。
<参へと続く>