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怪異馬霊教と赤い酒

b0093969_21172444.jpg はじめにお断りしておくが、歴代の怪獣映画に香山滋の匂いを探そうとしてこの「海鰻荘奇談」を読んでいる訳ではもちろんない(笑)。
あくまで純粋に香山ワールドに魅せられている訳だけれども、ふとした細かな記述に敏感に反応してしまうのはゴジラファンの哀しい性か・・・。
 
 「怪異馬霊教」は" 地上篇 " と " 地下篇 " の二部構成で、昭和23年4月の書き下ろしとなっている。

 祖父、父と続けて変死を遂げるという呪われた宮地家の当主惣一。地上篇では惣一がその秘密を究明していく様子をホラー小説感覚でミステリアスに描いてゆく。そして地下篇では、いよいよその秘密が解き明かされるのだが、登場するのはなんと広大な地下王国。そして一糸もまとわず現れた馬頭観音に姿を変えた妻と死んだはずの息子。
 全篇を覆う怪奇・幻想・エロティシズムという香山ムードは冴えに冴え、深遠なラストにオレは思わず惣一とともに慟哭してしまったほどである。

 さて、読み進むうちにオレはある単語に釘付けになった。
中盤に登場し、この物語で重要な役割を果たしている " アルカゴーク・クラースヌイ " ・・・「赤い酒」がそれである。
これに限らず、氏の作品に登場する固有名詞はやたらと長ったらしいものが多いばかりか、その中に根拠があるものと全くの作りものが混在していて読者を泣かせ・・・いや、読む者を大いに楽しませてくれるのだ(笑)。

 この、アルカゴーク・クラースヌイなる飲み物は作中の言葉を引用すると "シベリアの住民が古来こけももの搾り汁を醗酵させて醸した酒に、べにてんぐだけを浸して色付けした酒・・・中略・・・島民はそれをただ簡単に「赤い酒」と呼んでいる。" というのだが、この魔酒には恐ろしい催淫力とともに、死者をも甦らせる神秘の力も備わってる。

 ここでまたまたオレの頭に浮かんだのは映画「モスラ」に登場するあの飲み物。そう、インファント島の島民を放射能の被爆から守り、民族を滅亡から救った神秘の飲み物「赤いジュース」である(笑)。
島に生息する胞子植物から作られたというこの「赤いジュース」と、キノコの一種である "べにてんぐだけ" を浸して色付けした赤い酒、アルカゴーク・クラースヌイ。神秘的な効能を有するこの二つの飲み物にも面白い共通点を感じる。
 
 その後「キングコング対ゴジラ」でも" 赤い汁 "が登場するし、「モスラ対ゴジラ」でもインファント島を訪れた宝田明一行が島民から怪しげな飲み物を勧められたり、「南海の大決闘」では飲み物ではないが、エビラ除けの黄色い汁なども登場する。こういう小道具?が登場するだけでも小説や映画が奥深い娯楽性と神秘性に彩られるから不思議なものだ。

 ではこういった小道具のルーツは一体何処にあるのか・・・おそらくそれは神話や聖書の世界にまでさかのぼる必要があるのだろうが、そこまで突き詰めたりしないオレのような人間は一体どうすればいいのか・・・?

ただただ、「香山滋は凄い!」と感嘆していれば良いのだ(笑)。
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by Tettin-Arts | 2008-01-18 22:33 | 夕日書房
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四辻に佇んで・・・。


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