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スローバラード

 心に沁みる音楽というものは、大抵はひどく落ち込んだり、大きな悲しみに遭遇したりといった、ヘヴィーな気分の時に聴いた音楽である場合が多い。それは、演奏する側にも言えることで、「ジョンの魂」やRCサクセションの「シングル・マン」などはその代表だろう。もともとロックのルーツでもあるブルースは、そうした絶望の淵から生まれた音楽なのだから、優れたロックミュージックが重い叫びを内包しているのは必然なのだ。

 こんなオレにも、やはり明日が見えず途方に暮れた時期が何度かあった。そんなときに、この「スローバラード」は心に沁みた。
言葉のひとつひとつが目が覚めるほど新鮮で、圧倒的にリアルだった。こんな歌詞を聴いた事がなかった。 
オレはこの曲を聴くと、「さらば青春の光」のなかのジミーとステフが頭に浮ぶ事がある。ジミーの一途な思い込みに対して、ステフは冷淡に拒絶する。
 
ぼくらは、とてもよく似た夢を見たけど、それは決して同じ夢じゃなかったんだ・・・という最後の切ない叫びが儚く悲しい。

 スローバラードは、忌野清志郎が残した永遠のブルースである



# by Tettin-Arts | 2009-05-13 22:18 | 日本のロック

雨あがりの夜空に

 1980年代に突入すると、ニューウエイヴが席巻。日本のロックもパンクあり、テクノありと百花繚乱の様相を呈していた。
そんなある日、FMラジオから小気味良いギターのリフと、煌びやかなサックスが炸裂するイントロに続いて、聞き覚えのある甲高いあの声が流れてきたのだ。



 
 RCサクセションの事など、すっかり忘れてバンドに没頭していたオレは、あまりの変貌ぶりに心底ぶっ飛んだ。
あの時のアコースティック・トリオのイメージは微塵も感じられない。RCサクセションは堂々たるロックンロール・バンドに生まれ変わっていたのだった。DJの話では、東京で異様な盛り上がりを見せていると言う。 オレの心は騒いだ。

 奇抜でド派手なファッションに身を包み、ニューウエイヴの香りは漂わせていたが、そのサウンドは、ローリング・ストーンズやE・ストリート・バンドに通じるようなストレートでオーソドックスなロックンロールであり、特に目新しさは感じなかったが、とにかく清志郎の声と詞が圧倒的に素晴らしかった。ブルースでよく使われるようなダブルミーニングの手法を駆使した、軽薄とも思える歌詞も実は奥深く、RCのロックンロールには良く合った。 こんなに、言葉がロックンロールのリズムに乗ってどんどん身体に沁みこんでゆく感覚は、これまでオレが聴いた日本のロックのなかでは、清志郎とパンタだけである。

# by Tettin-Arts | 2009-05-11 20:01 | 日本のロック

ぼくの好きな先生

ぼくの好きな先生_b0093969_21371260.jpg

 小さい子供が悪戯をして、それを大人に見つかるとちょこちょこ上目遣いに反応を確かめようとする。そしてペロっと舌を出す。
忌野清志郎は、亡くなるまでそんな悪戯小僧だったような気がする。
遺影の写真が凄く良い。まるで、死んじゃったことさえも、清志郎の悪戯だったような気さえしてくる。

 オレがラジオでRCサクセションを初めて聴いたのは、中学生の頃、ご多分に漏れず「ぼくの好きな先生」(1972年)だった。
当時は忌野清志郎、小林和生、破廉ケンチのアコースティック・トリオで、ギターをかじり始めたオレは、折からのフォークブームに煽られ「ガッツ」なんていうギター雑誌を買ったりしていたが、RCもそんな雑誌によく登場していた。
曲調もコミカルで、面白いグループだなという印象は持ったけど、ビートルズに夢中だったオレは、その時はRCにそれ以上の興味は沸かなかった。しかし、このグループ名と、独特の高音で腰のある清志郎の声だけは、ずっと頭の片隅に残っていたのである。

 「GOTTA! 忌野清志郎」のなかに、当時の清志郎らしいエピソードが紹介されている。
神奈川大学講堂で、「心の旅」がヒットしかかっていたチューリップと共演したときのこと。大勢詰め掛けたチュ-リップファンの前で清志郎はこんな話を始めたという。


「今日この神奈川大学へまいりまして、多少時間があったので近くの喫茶店へメンバーとコーヒーを飲みに行きました。そこでワタクシは急に腹痛をもよおしトイレに駆け込みました。事を済ませて気がつくと紙がない。トイレット・ペーパーが切れていました。仕方がないのでトイレの隅にあった汚物入れの中から比較的汚れの少ないナプキンを探し出し、それでなんとか一難を逃れました」
こんなブラックな冗談を、清志郎はステージで語っていた。チューリップ・ファンの女子高生たちは嫌悪感いっぱいに顔をゆがめた。
                                      <「GOTTA! 忌野清志郎」 より抜粋>



# by Tettin-Arts | 2009-05-10 00:58 | 日本のロック

GOTTA! 忌野清志郎

GOTTA! 忌野清志郎_b0093969_22141575.jpg

 何年かぶりに、こうして本棚から清志郎の本を引っ張り出して読んでいる。

 「GOOTA! 忌野清志郎」というタイトルのこの本は、平成元年に初版で出ているので、20年前の本である。
と言う事は、清志郎が38歳くらいの時に出版された本と言う事になる。
まぁ普通にお気に入りのミュージシャンならば、レコードを買ったり、CDを買って聴けば事足りるわけだが、こうして本まで買ってしまうというのは、その人が、オレの人生に大きな影響を与えたという証拠物件のようなものである。
 実はこの他にも、清志郎とリンコへのインタビューで構成された「日々の泡立ち」、清志郎のエッセイ「十年ゴム消し」がオレの本棚に並んでいるし、本棚をひっくり返せば「忌野旅日記」なども出てくるはずだ。
 " 清志郎の友人としてRCを身近で見てきた著者による、清志郎の自伝" というスタイルのこの本は、幼少期の思い出から、マンガが大好きだった少年が、だんだんその自己表現の手段を音楽にシフトさせ、その類稀な才能を開花させていく様が、清志郎の回想を中心にリアルに綴られており、未完成の清志郎の自伝としても、また、ほろ苦いロック小説としても大変充実した内容を誇っている。第一、清志郎に対する尊敬の念がひしひしと伝わってくるタイトルからしてイカしている。

 清志郎による曲解説もあり、貴重な写真もたくさんある。出来る事なら9日の式に駆けつけたいが、そうもいかず、この本を再読しながら、改めてこの世を去った忌野清志郎という偉大なロックンローラーに想いを馳せたい。


■ GOTTA! 忌野清志郎 / 連野城太郎・著  <角川文庫>
# by Tettin-Arts | 2009-05-07 00:13 | 日本のロック

清志郎、逝く。

 エルヴィス・プレスリー、ジョン・レノン、ブライアン・ジョーンズ、ジム・モリソン、オーティス・レディング、マーク・ボラン...
偉大なロックンローラーというものは、総じて短命である。

清志郎が残した名曲は数々あれど、今日はこの歌がどうしても聴きたくなった。清志郎は、もう星になって帰ってしまったのだ。
こんなオレたちを残して・・・。




 心よりご冥福をお祈りいたします
# by Tettin-Arts | 2009-05-03 18:41 | 日本のロック
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四辻に佇んで・・・。


by Tettin-Arts
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